眠っていた試聴機能の復活と、誠実なデータに基づく購買動線の改善
今回は、検索で見つけてもらうための地道な改善と、作品の魅力を伝える「試聴機能」や「購入ボタン」の改修についてお話しします。手元にある未活用の機能を正しく動かし、誠実なデータで読者に届けることの大切さを学んだ一日の記録です。
眠っていた試聴機能を復活させる
DLsiteの音声作品には、購入前に試し聴きができる機能があることが多いですが、これまではうまく取り込めていない「最大の未活用資産」になっていました。原因は、DLsite側がウェブページを表示したあとに、JS(ウェブページに動きをつけるプログラム)を使って後から試聴プレイヤーを追加していたためです。通常のページ再取得では回収できないことがわかりました。そこで、chobit(DLsiteの関連サービス)の公開API(データを受け渡す窓口)を新しく使い、試聴データを直接回収する仕組みを作りました。ちなみに、システム上にあるフラグは「音声作品である」ことを示すだけで試聴の有無とは関係ないため、APIで実際のデータ件数を見て判定しています。この結果、これまで取りこぼしていた2件を回収でき、全体の約89%(126作品中112作品)で試聴が可能になりました。残り14件は2020年から2021年頃の旧作や無料作品で、元々試聴がないものです。今後はこの処理を自動化の仕組みに組み込み、恒久的に試聴機能を取り込めるようにしました。
読み終わったあとに買いやすくする工夫
これまでは、購入するためのボタン(クロージングCTA:読者に行動を促す導線)が画面の右上のほうにしかありませんでした。しかし、作品の情報を最後まで読んで一番心が動くタイミングは、トラック一覧を読み終わった位置です。そこで、トラック一覧の下に新しい購入エリアを作りました。ここには、作品のパッケージ画像や音のスコア要約、定価・試聴の有無・販売数・星の評価・尺などの細かい情報(マイクロコピー)と、目立つ塗りボタンをまとめて表示しています。セールの場合は実際のデータを使って割引率や終了日を載せますが、購入を焦らせるような「偽の希少性」は絶対に作りません。
サイトをより良くするための調査と修正
サイト全体の使い勝手を良くするための調査も行いました。たとえば、トップページを開いて最初に目に入る部分(FVと呼ばれます)に、独自の強みである実測スコアや、パッと見てわかる3秒の説明が足りていないことがわかりました。音響指標の読み方でも解説しているような価値をどう伝えるかが今後の課題です。また、購入ボタンの目立ちやすさが逆になっていたり(内部リンクが目立つ塗りボタンで、購入先へのリンクがただの線になっていました)、年齢確認をしていない方に過激なタイトルが見えてしまう問題が見つかりました。スマートフォンのトップページが縦に11,000pxもあって長すぎる点など、直すべき点が多くあります。今回はひとまず、特集ページを3段グリッドの配置に直して余白を解消したり、右レールのスクロールを撤回したりと、全部で12件の修正を行いました。さらに、新着作品などはDLsiteの作品を優先して表示する方針を入れました。ただし、ランキングについては実際の計測データの降順をそのまま載せるというお約束があるため、このルールは適用していません。就寝用に安全なASMRランキングなども、実測値のまま誠実にお届けしています。
この日の学び
- 試聴機能のような「すでにあるのに使えていない資産」は、APIなどを活用して着実に回収することが重要。
- 購入導線は、読者が最も情報を必要としている「読み終わった位置」に置くべき。
- サイト改善は、焦らせる偽の演出をせず、実際のデータや調査に基づいて誠実に行うことが信頼につながる。